「矯正はどうやって歯を動かしているの?」
「ワイヤー矯正とマウスピース矯正では歯の動かし方は違うの?」
歯科矯正は矯正装置で力をかけ、歯を動かします。この点はどの矯正治療でも同じです(成人矯正の場合)。
ただし、ワイヤー矯正とマウスピース矯正には「歯の動かし方」に違いがあります。
今回は「矯正治療で歯が動くメカニズム」および「ワイヤー矯正とマウスピース矯正の歯の動かし方の違い」についてご説明します。
目次
- ■矯正治療で歯が動くメカニズム
- ◎歯槽骨の吸収&造骨を利用して歯を動かします
- ■ワイヤー矯正の歯の動かし方
- ◎ワイヤー矯正は歯根ごと歯を平行移動できます
- ◎歯体移動ができるワイヤー矯正は軽度~重度までさまざまな症例に対応可能
- ■マウスピース矯正の歯の動かし方
- ◎マウスピース矯正では歯を傾ける傾斜移動が中心となります
- ◎マウスピース矯正は「歯の傾きを治す治療」に適しています
- ■補助処置により、マウスピース矯正のみでも重度の歯並びの乱れに対応できる場合があります
- ◎顎間ゴムやアンカースクリュー、アタッチメントなどの補助処置で効率的に歯を動かします
- ■ワイヤー矯正とマウスピース矯正を併用することも
- ◎2つの矯正方法を併用し、それぞれの良さを生かして治療を進めます
- 【歯並びの乱れや矯正方法選びでお困りの方はお気軽にご相談ください】
■矯正治療で歯が動くメカニズム
◎歯槽骨の吸収&造骨を利用して歯を動かします
歯科矯正は以下の「歯槽骨の吸収&造骨」のメカニズムを利用して歯を動かし、歯並びを整えます。
1.矯正装置を歯に装着し、動かしたい方向に力をかける。
2.力をかけた方向の歯根膜がぎゅっと圧迫され、歯根膜内の血管から骨を溶かす破骨細胞が分泌される。
3.分泌された破骨細胞により、力をかけた方向の歯槽骨(歯が植わっている顎の骨)が溶かされる(歯槽骨の吸収)。
4.破骨細胞によって溶けた分、スペースができて歯が動く。
5.力をかけた方向と反対の歯根膜が伸び、歯根膜内の血管から骨を作る造骨細胞が分泌される。
6.歯が動いて空いたスペース分、造骨細胞によって歯槽骨が作られる(歯槽骨の造骨)。
矯正治療では上記の1~6を繰り返し、少しずつ歯を動かして理想の歯並びに近づけていきます。
■ワイヤー矯正の歯の動かし方
◎ワイヤー矯正は歯根ごと歯を平行移動できます
ワイヤー矯正は矯正力が強く、歯根ごと歯を平行移動できます。これを「歯体移動(したいいどう)」と呼びます。
歯体移動に加え、ワイヤー矯正は歯を傾ける傾斜移動(後述)も行えます。
◎歯体移動ができるワイヤー矯正は軽度~重度までさまざまな症例に対応可能
ワイヤー矯正は金属製のワイヤーで歯を締めるため、歯を動かす力(矯正力)が強いです。矯正力が強く、軽度~重度の歯並びの乱れに幅広く対応できます。
抜歯をしてスペースを作り、歯を大きく動かす重度の歯並びの乱れもワイヤー矯正であれば対応可能です
■マウスピース矯正の歯の動かし方
◎マウスピース矯正では歯を傾ける傾斜移動が中心となります
マウスピース矯正では、歯冠(しかん:歯ぐきから上の歯の部分)を傾けて歯並びを整えていきます。これを「傾斜移動(けいしゃいどう)」と呼びます。
やわらかいマウスピースを使って力をかけるため、ワイヤー矯正と比べてマウスピース矯正は歯を動かす力がマイルドです。矯正力がマイルドなマウスピース矯正では歯を歯根ごと平行移動させる歯体移動は原則として行えません(※)。
(※)インビザラインに限り、アタッチメントを
つけることで歯体移動を行えます。
{歯を動かすメカニズムはどちらも同じ}
ワイヤー矯正と同じく、マウスピース矯正も矯正装置で歯に力をかけることで歯根膜を圧迫し、歯槽骨の吸収と造骨(上記の1~6)を利用して歯を動かします。この点はどちらも同じです。
◎マウスピース矯正は「歯の傾きを治す治療」に適しています
マウスピース矯正は歯の傾きを治す治療に適しています。マウスピース矯正は軽度~中程度の出っ歯・すきっ歯・ガタガタ歯など、歯が傾いていたり歯が不規則に生えている歯並びの乱れを歯槽骨のライン上にまっすぐに整えるのが得意です。
{マウスピース矯正は歯を大きく動かす治療が苦手}
矯正力がマイルドなため、マウスピース矯正は歯を大きく動かす治療が苦手です。上下合わせて4本以上の歯を抜く抜歯矯正など、抜歯をしてスペースを作り歯を大きく動かす必要がある重度の歯並びの乱れにはマウスピース矯正のみでは治療を効率的に行えない場合があります。
■補助処置により、マウスピース矯正のみでも重度の歯並びの乱れに対応できる場合があります
◎顎間ゴムやアンカースクリュー、アタッチメントなどの補助処置で効率的に歯を動かします
通常、歯を大きく動かす必要がある重度の歯並びの乱れはマウスピース矯正のみでは治療をスムーズに行えないことが多いです。ただし、顎間ゴムやアンカースクリュー、アタッチメントなどの補助処置を行うことで、マウスピース矯正のみでも重度の歯並びの乱れに対応できる場合があります。
■ワイヤー矯正とマウスピース矯正を併用することも
◎2つの矯正方法を併用し、それぞれの良さを生かして治療を進めます
歯を大きく動かす必要がある症例ではワイヤー矯正とマウスピース矯正を併用することがあります。
併用するケースでは最初にワイヤー矯正で歯を大きく動かし、仕上げの微調整でマウスピース矯正を行うなど、それぞれの特徴を生かすことで効率的に治療を進めやすくなります。
【歯並びの乱れや矯正方法選びでお困りの方はお気軽にご相談ください】
徳重ガーデン歯科 矯正歯科では日本成人矯正歯科学会の矯正認定医による無料の矯正相談を行っています。
歯並びの乱れや矯正方法選びでお困りの方、矯正治療についてご質問やご不安がある方は当院までお気軽にご相談ください。
カウンセリングでは歯科医師が患者様の現在のお悩みをしっかりとお伺いし、適切な治療方法をご提案させていただきます。