前回のブログでは歯周基本治療、および、当院で行っている歯周病治療の内容についてご紹介をさせていただきました。
記事は多くのご反響をいただいたのですが、患者さんから
「結局、歯周病は治るものなの?」
「手術をせず、歯周基本治療(歯のクリーニング、歯石取り)」で対応できるのはどの進行段階まで?」
とのご質問も多くありました。
そこで今回は「歯周病は治るのか」「進行段階別 歯周病治療の内容」、および、「歯周基本治療の大切さ」についてご説明いたします。
目次
■歯周病は治るのか
◎そもそも「歯周病が治る」とはどんな状態?
歯周病は治るのかについてご説明する前に、まず、「歯周病が治る(完治する)」とはどういう状態なのかを考える必要があります。
一般的に「歯周病が治る」とは、歯ぐきや顎の骨の炎症が治まり、歯周組織(歯ぐきや顎の骨)が安定した状態を保つことを指します。
歯周病治療は歯ぐきや顎の骨の炎症を抑え、歯周組織を安定させることが目標です。
{歯周病とは}
歯周病はお口の中にひそむ複数の歯周病菌(カビ菌など)によって発症する病気であり、感染症の一種です。抗菌剤(抗生剤)や歯周基本治療により歯周病菌を減らすのは可能ですが、お口の中にひそむ歯周病菌をすべて無くす(根絶する)ことはできません。
なお、歯周病には歯周病菌以外の原因によって発症するものもあります。噛み合わせの乱れにより、歯や顎の骨に過剰な負荷がかかって発症する歯周病を「非プラーク性歯周疾患」と呼びます(外傷性咬合が原因で発症・進行する歯周病)。
非プラーク性歯周疾患においては歯周組織を回復する治療に加え、歯科矯正や咬合調整、または、状態に合わせてインプラントなどの補綴治療を行い、噛み合わせの正常化、および、歯周組織の状態回復をもって「歯周病が治った(歯周組織にかかっていた過剰な負荷を解消できた)」と定義する場合もあります。
■進行段階別 歯周病治療の内容
◎初期段階の歯周病(歯肉炎)はご自身で行うセルフケア、および、歯周基本治療のみで治せる可能性があります
初期段階の歯周病である歯肉炎はご自身で行うセルフケア、および、歯周基本治療のみで治せる可能性があります。
歯肉炎は歯周病菌によって歯ぐきが炎症を起こし、歯ぐきが赤く腫れている状態です。
毛先が細い歯ブラシを用いて歯周ポケット内部の歯垢をかきだすことに留意し、毎日、正しい方法でブラッシングと歯間清掃を行うことで、セルフケアのみで歯肉炎を治せるケースもあります(※)。
(※)毎日のセルフケアに加え、歯周基本治療を
受けることで歯肉炎を改善しやすくなります。
◎中等度~重度の歯周病(歯周炎)は歯周外科治療が必要になることが多いです
中等度~重度の歯周病である歯周炎は歯周外科治療(外科手術)が必要になることが多いです。
歯周炎になると歯ぐきの炎症に加え、歯ぐきの退縮(歯ぐきが下がる)や顎の骨が溶けるなどの症状が現れ始めます。
退縮した歯ぐきや溶けてしまった顎の骨を治すためには、歯ぐきを切開して歯の根面に付着した歯石や傷んだ歯ぐきを除去(切除)する外科的な治療が必要です。
歯根面の清掃や歯ぐきの除去に加え、失われた歯周組織の範囲が大きい場合は、歯ぐきや顎の骨を回復させる再生療法(エムドゲイン、Gem21など)が必要になるケースもあります。
<中等度~重度の歯周病治療で行うこと(歯周外科治療)>
〇組織付着療法
・歯周ポケット掻把術
・歯肉剥離掻把術(フラップ手術)
・新付着手術
〇切除療法
・歯肉切除術
・歯肉弁根尖側移動術
・骨整形をともなう骨切除術
・歯肉剥離掻把術(フラップ手術)
〇歯周組織再生療法
・骨移植術
・露出根面被覆術
・歯周組織再生誘導法(GTR)
・エムドゲイン(増殖因子による歯ぐきと顎の骨の再生療法)
・Gem21(増殖因子(化学合成された骨再生材)による顎の骨の再生療法)
〇歯周形成手術
・小帯切除術
・歯肉弁根尖側移動術
・歯肉弁歯冠側移動術
・歯肉弁側方移動術
・遊離歯肉移植術
■歯周基本治療の大切さ
◎すべての進行段階において、歯周基本治療を行います
<歯周基本治療で行うこと>
(初期段階の歯肉炎~重度の歯周炎まで、すべての歯周病で歯周基本治療を行います)
- 歯垢、および、歯石の除去(歯のクリーニング、スケーリング・ルートプレーニング(SRP))
- 歯の噛み合わせの調整(歯の噛み合わせ面を少しだけ削り、歯の高さを調整します)
- 暫間固定(プラスチック樹脂のレジンや金属ワイヤーを用い、グラグラしている歯を固定します)
(※)歯の噛み合わせの調整、暫間固定を行わないケースもあります。
歯周基本治療は歯周病治療、および、歯周病予防の根幹を成す大切な治療です。
進行段階に関わらず、初期段階の歯肉炎~重度の歯周炎まで、すべての歯周病において歯周基本治療を行います。
なお、歯周基本治療(+毎日のセルフケア)のみで治せる可能性がある歯周病は初期段階の歯肉炎に限られます。
患者さんご自身が行う毎日のセルフケア(歯みがき+歯間清掃)に加え、歯科医院で定期的に歯周基本治療を受けることで歯周病の進行を抑えやすくなります。
中等度~重度の歯周病においては、歯周外科治療を中心に歯ぐきや顎の骨の回復を目指します。歯ぐきや顎の骨の回復後は様子を見ながら歯周基本治療を行い、歯周組織の安定を図ります。
【日本歯周病学会の歯周病認定医による歯周病治療を行っています】
徳重ガーデン歯科 矯正歯科は歯周基本治療、および、歯周外科治療(再生療法を含む)による歯周病治療を行っています。
・歯周病が進行してしまい、歯を残すことをあきらめかけている
・どのクリニックで歯周病治療を受ければ良いか分からない
など、歯周病や治療院選びでお困りの方は当院までお気軽にご相談ください。ご予約はWEB/お電話にて受付中です。
診察では歯周病認定医が患者さんの口腔内の状態を精査し、それぞれの方に適した治療計画をご提案させていただきます。