予防歯科とは、むし歯や歯周病などのお口の病気を未然に防ぐ予防処置を指します。 [予防歯科で行うこと] ・歯の定期検診(むし歯や歯周病など、お口の病気のチェック) ・歯のクリーニング、歯石取り ・歯みがき指導 ・食生活指導 予防歯科を受けることでむし歯や歯周病の予防効果がアップし、歯を残せる確率が高まります。 今回は「むし歯や歯周病を放置すると起きること」および「予防歯科の重要性」についてお話しします。 目次 「歯が少し痛いけど、まだ歯医者に行くほどじゃないかな」 「痛くなったら歯医者に行けばいいや」 上記のような『受診の先送り』はむし歯や歯周病を悪化させます。ご自身の判断で「まだ大丈夫」とお口の痛みや違和感を放置していると、むし歯や歯周病はどんどん進行してしまいます。 歯の痛みや違和感を放置し、受診を先送りしていると以下のようなさまざまなデメリットが発生します。 ・むし歯や歯周病が悪化する ・病気の悪化により、歯や歯周組織(歯ぐきや歯槽骨など)のダメージが大きくなる ・歯を削らなければならなくなる ・歯の神経を取らなければならなくなる ・治療時の痛みが増す ・治療期間が長くなる ・治療費が大きくなる むし歯で歯が痛むと、痛くない側の歯でばかり噛むようになります。片側の歯ばかりで噛んでいると噛み合わせが乱れ、全身の健康に悪影響がでることがあります。 また、歯周病が進行すると歯を支えている歯槽骨が溶けて噛み合わせが乱れ、全身の健康に悪影響をおよぼすことがあります。 [むし歯や歯周病の悪化で起きる可能性がある悪影響] {噛む機能の悪影響} ・両側の歯で食べ物をしっかり噛めなくなる ・噛み合わせが乱れ、噛む力がアンバランスになる ・やわらかい物ばかり食べるようになり、顎の筋力が衰える ・噛み合わせが乱れ、一部の歯に過剰な負担がかかって歯のひび割れや歯根破折を起こしやすくなる(外傷性咬合による咬合性外傷) {栄養面や内臓の悪影響} ・やわらかいご飯やうどん、甘い飲み物など糖質中心の食生活になり、肥満や糖尿病にかかりやすくなる ・しっかり噛めないため、咀嚼が不十分になり胃腸の負担が増える {全身の筋肉や骨格バランスの乱れ} ・噛み合わせの乱れが原因で顎の関節に負担がかかり、顎関節症になる ・噛み合わせの乱れが原因で肩こりや頭痛が起きる ・噛み合わせの乱れが原因で首、背中など、全身の筋肉や骨格バランスが乱れる むし歯や歯周病を放置していると、歯の根の先から顎の中の血管に細菌が入り込みます。血管に入り込んだ細菌は血液に乗って全身をかけめぐり、脳梗塞や心筋梗塞などの命にかかわる病気をひきおこすことがあります。 唾液中の歯周病菌が誤嚥性肺炎をひきおこしたり、流産や早産、低体重児出産にも歯周病菌が関与していることが研究によって報告されています。 私たちの天然の歯はかけがえのない宝物です。歯は、少しでも削ってしまうと二度と元には戻せません。 お口の健康にとって最善なのは、「天然の歯をできるだけ長く残すこと」です。 技術の進化により、現在はインプラントなどの優れた人工歯が普及しています。しかし、どんなに優れた人工歯でも天然の歯に勝る物はありません。歯根を覆いクッションの役割をする歯根膜など、天然の歯には人工歯にはない機能がたくさん備わっています。 予防歯科では、定期的に歯科医院で検診とクリーニングを行います。歯科医院で行う予防処置には以下のメリットがあります。 [予防歯科のメリット] ・むし歯や歯周病を未然に防ぎやすくなる ・歯や歯周組織を健康に保ちやすくなる ・むし歯や歯周病の早期発見・早期治療につながる ・治療時の痛みが少なく済む ・治療期間が短く済む ・治療費が少なく済む 歯の痛みや違和感を放置するのはよくありません。少しでも歯の異常を感じたときはできるだけ早めに歯科医院で診察を受けることが重要です。 むし歯や歯周病を未然に防ぐには「歯が痛くなったら歯科医院に行く」ではなく、「むし歯や歯周病にかからないよう、定期的に歯科医院で予防処置を受ける」のがベストです。 大切な歯を守るためにも、まずは毎日の歯みがきをしっかり行いましょう。ただし、セルフケアだけでは歯の汚れや歯石は落とし切れません。セルフケアに加え、歯科医院で定期的に検診と歯のクリーニング、歯石取りを受けることでお口の病気の予防効果を高められます。
■「痛くないからまだいいや」はNG
◎受診の先送りはお口の病気を悪化させます
◎受診の先送りによるデメリット
■むし歯や歯周病を放置すると…
◎噛み合わせが乱れ、全身の健康に悪影響がでることも
◎進行したむし歯や歯周病が命にかかわる病気をひきおこすことがあります
■予防歯科の重要性
◎天然の歯はかけがえのない宝物
◎予防歯科のメリット
【予防歯科でむし歯や歯周病を未然に防ぐ】