大切な、歯。
かけがえのない歯ですが、不幸にも、歯を失ってしまうことも。
どのような原因で、歯を失くすのでしょうか?
歯周病?むし歯? 気になる方も多いかと思います。
今回は、「歯を失くす原因」のお話です。
目次
■歯を失くす原因 全年齢のランキング
◎1位は歯周病 40代以降から歯周病が急増
日本人が歯を失くす原因の第1位は歯周病です。
日本人で歯を失った方の約4割が、歯周病が原因で歯を喪失しています。
特に、40代以上の中高年の方が、進行した歯周病によって歯を失うことが多いです。
◎2位はむし歯、3位は歯根破折
日本人の歯の喪失原因の第2位はむし歯で約3割。
第3位は歯根が割れたり折れる歯根破折(しこんはせつ)で約2割となっています。
■歯を失くす原因 年齢別の特徴
この項では、年齢別の「歯を失くす主な原因」についてご説明します。
①20歳以下では矯正治療で歯を失う(抜歯)ことが多いです
20歳以下では、矯正治療における抜歯で歯を失うことが多いです。
15歳以下の方の約7割、15~19歳の方の約3割が抜歯矯正によって歯を失くしています。
{20歳前後の方は埋伏歯の抜歯で歯を失う傾向が見られます}
埋伏歯(まいふくし)とは、歯ぐきや顎の骨の中に一部orすべての歯が埋まった状態です。
15~24歳の方の約2割が埋伏歯の抜歯で歯を失っています。
②15歳頃からむし歯で歯を失うケースが増え始めます
歯を失う原因、と聞いて、むし歯をイメージする方も少なくありません。実際、15歳頃からむし歯で歯を失うケースが増え始めます。
15~19歳の方の約1割、20~24歳の方の約2割、25~29歳の方の約3割が、むし歯が原因で歯を失っています。
{30~49歳の方が歯を失う原因の第1位はむし歯}
年齢別の歯の喪失原因では、30~49歳では歯を失う原因の第1位はむし歯です。
30~44歳の方の約4割、45~49歳の方の約3割が、むし歯が原因で歯を失っています。
③40代以降は歯根破折で歯を失う方が増えてきます
歯根破折とは、歯の根っこである歯根が割れたり折れてしまう状態です。
40代以降になると、歯根破折で歯を失う方が増えてきます。
40~49歳の方の約1割~1割強、50歳以上の方の約2割が、歯根破折が原因で歯を失っています。
{若い頃に神経を抜いた歯は要注意}
10~30代など、若い頃のむし歯治療などで神経を抜いた歯は要注意。
神経を抜くと歯に栄養が送られなくなり、歯がもろくなります。
若い頃のむし歯治療で歯の神経を抜いた後、硬い物を噛む・噛み合わせの乱れなどにより、長い年月をかけて歯にダメージが蓄積。蓄積したダメージが原因で、40代以降に歯根破折が起きるケースが少なくありません。
歯根破折を防ぐには、
-
噛み合わせが乱れないようにする
-
神経を抜いた歯で硬い物を噛まないようにする
など、できるだけ、神経を抜いた歯に負担が集中しないようにすることが大切です。
噛み合わせを整えるor噛み合わせの状態を確認するには、歯科医院で受ける定期検診が重要になります。噛み合わせが乱れている場合は、歯の矯正や咬合調整などの治療が必要になることも。
④50代以降になると歯周病で歯を失う方が多いです
50代以降になると、進行した歯周病で歯を失う方が多いです。調査では、50代以降の方の歯の喪失原因の第1位は歯周病となっています。
{50代以降が歯周病で歯を失うことが多いのはナゼ?}
「中高年になると突然、歯周病が悪化して歯を失う」というイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、その考え方はあまり適切ではないです。
ほとんどの場合、中高年になって、突然、歯周病が悪化する訳ではありません。
20代頃から歯周病(初期の歯周病の歯肉炎)にかかっており、15~30年前後をかけて少しずつ歯周病が進行。長い年月をかけて歯周組織にダメージが蓄積され、40~50歳以上の中高年以降になって、進行した歯周病として顕在化してくるケースが多いです。
{10~30代の方は「若年性歯周炎(侵襲性歯周炎)」に注意が必要}
10~30代の方に注意していただきたいお口の病気の一つに、「若年性歯周炎(侵襲性歯周炎)」があります。
通常の歯周病が15~30年前後をかけてゆっくりと進行していくのに対し、若年性歯周炎は病気(歯周病)が急激に進行しやすいです。若年性歯周炎では、病気の急激な進行によって2~10年以内に歯を失ってしまうケースも。
通常の歯周病(歯肉炎)に気をつけると共に、10~30代の方は進行速度が速い若年性歯周炎にも注意が必要です。
(※)上記のデータの引用元:
公益財団法人8020推進財団
「第2回 永久歯の抜歯原因調査」(2018)
より引用。
【歯科医院で定期検診を受けましょう】
歯を失くす原因は、様々。
原因は様々ですが、歯・歯周組織の健康を守るためには、まずは、毎日の歯みがき+歯間清掃によるセルフケアをしっかり行うことが大切です。
基本のセルフケアに加え、歯科医院で定期検診を受けることで、むし歯・歯周病やお口の異常を早期発見・早期治療しやすくなります。
歯を失わないようにするために、毎日のセルフケアをしっかり行うと共に、歯科医院で定期検診を受けましょう。